建設キャリアアップシステム(CCUS)に関するお役立ち情報
Tips
建設キャリアアップシステム(CCUS)に関するお役立ち情報
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「建設キャリアアップシステムはいつから義務化になる?」
「技能者登録しないと建設現場に入れなくなる?」
このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。本記事では、建設キャリアアップの義務化はいつからか、義務化後に必要な対応や、対応しない場合のデメリットについて解説します。
建設キャリアアップの登録に悩まれている方は、ぜひ最後までお読みください。
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国土交通省から公表された『建設キャリアアップシステム普及・促進に向けた官民施策パッケージ』によると、2023年度中に登録義務化、完全実施を目指していたものの、現在(2024年1月時点)はまだ建設キャリアアップシステムの登録・利用は任意です。
技能者の能力・経験等に応じた適性な処遇改善につなげることを目的として2020年にスタートした建設キャリアアップシステムですが、2023年11月現在で技能者登録者数は132万7千人、事業者登録者数は24万7千件となりました。
建設業の技能者人口は268万人となっており約半数の技能者が登録している状況です。また、事業者は工事実績のある許可事業者が40万社で全体で60%の事業者が登録しています。
ただし、国土交通省の方針として令和5年度からの「あらゆる工事でのCCUS完全実施」に向けた下記の3つの具体策もスタートしており、まもなく建設キャリアアップシステムが義務化になることは間違いありません。
→国土交通省「建設キャリアアップシステム普及・促進に向けた官民施策パッケージ」
建設キャリアアップシステムが義務化され、あらゆる工事でCCUS完全実施となると、建設現場の工事において事業者および技能者の建設キャリアアップシステムへの登録は必須となります。
さらに、着手する建設現場ごとに建設キャリアアップシステムへの現場の登録や、ICカードリーダーなど読み込み機器の設置が必要です。義務化後に必要な対応について解説します。
建設キャリアアップシステムに事業者登録すれば、技能者の就業履歴確認、現場の入退場管理、社会保険加入状況などが簡単に確認できるようになり業務を大幅に効率化できます。
建設キャリアアップシステムへの事業者の登録は、「会社情報」「社会保険加入情報」の登録を行います。登録は「インターネット申請」または「認定登録機関申請」のどちらかの方法を選択可能です。
各情報の登録にはそれぞれ確認書類の提出が必要となり、会社情報は「事業者確認書類」、社会保険加入情報は「社会保険加入証明書類」を添付(写し)して申請します。
事業者の登録には申請に1週間・審査に2週間かかるため、十分に余裕を持って申請の手続きを進める必要があるでしょう。
建設キャリアアップシステムに技能者を登録すれば、技能者のキャリアや資格を証明できるため、各レベルに応じた賃金アップや処遇の改善などが期待できます。
建設キャリアアップシステムへの技能者の登録は、「本人情報」「所属事業者情報」「社会保険情報」「保有資格情報」「健康診断のほか各種資格情報」の登録を行います。登録は「インターネット申請」または「認定登録機関申請」のどちらかの方法を選択可能です。
事業者登録と同様に、各情報の登録にはそれぞれ確認書類を添付(写し)して申請します。登録完了後、建設現場で必要な建設キャリアアップカードを取得できます。
技能者登録には申請に1週間・審査に3週間かかるため、十分に余裕を持って申請手続きを進める必要があるでしょう。
建設キャリアアップシステムの運用には、事業者が建設現場ごとに「現場名、現場住所、元請事業者名、工事内容」などを登録する「現場登録」が必要です。
元請事業者は現場管理者を選任し、現場・契約情報を建設キャリアアップシステムに登録します。次に、施工体制情報を登録し下請事業者へ引き継ぎます。
下請事業者はその施工体制情報に対して「作業員名簿」「技能者の立場(職長など)」「作業内容」「作業期間」を建設キャリアアップシステムに登録します。
建設キャリアアップシステムへの現場の登録を完了すると、元請事業者はシステムを導入する建設現場に対して、技能者の入退場を管理するためのICカードリーダーなどを設置します。
建築現場への入退場時に、技能者がキャリアアップカードをタッチして、就業履歴をシステムに蓄積できるのがメリットです。ほかにも、顔認証などのデバイスを用いて就業履歴を管理する方法があります。
建設現場に設置するICカードリーダは、現場の設置環境に合わせたICカードリーダーの選定が必要です。インターネット接続環境のない現場や屋外設置などがあるため、事前に確認する必要があるでしょう。
建設キャリアアップシステムに技能者の就業履歴を蓄積するには、建設現場に設置されたICカードリーダーなどに通す必要があります。
ICカードリーダーは技能者が建設現場に入退場する時に、建設キャリアアップカードタッチすることで、就業履歴を建設キャリアアップシステムに蓄積する仕組みです。
就業履歴は能力評価制度につながる大事なデータのため、定期的にご自身の就業履歴を確認することをおすすめします。
建設キャリアアップシステムに対応しない場合のデメリットとして、主に4つあります。
それぞれについて解説します。
主要な事業者の多くは建設キャリアアップシステムを導入して既に運用しており、それらの元請事業者が発注先を選定する場合に、建設キャリアアップシステムの利用状況をもとに判断することが想定されます。
今後、下請事業者の企業情報や技能者の経歴など、建設キャリアアップシステムのデータを利用して客観的に企業の能力を判断する元請事業者が多くなるのは間違いないでしょう。そのため、建設キャリアアップシステムに登録していない企業は、今後非常に不利になる可能性が考えられます。
「経営事項審査」とは、公共工事を発注者から直接請け負おうとする事業者が必ず受けなければならない資格審査です。客観的事項と主観的事項の審査結果を点数化し、順位付け、格付けを行います。
経営事項審査は「経営状況」と「経営規模」、「技術力」、「その他の審査項目(社会性等)」について数値化し評価する仕組みです。建設キャリアアップシステムも、評価数値の加点対象となっています。
公共工事の受注時、事業者選定における一つの基準として「建設キャリアアップシステムの登録有無」が考えられるため、公共工事の受注数や質に影響を及ぼす可能性があります。
建設現場で作業を行うにあたって、必要となるのが作業員名簿の作成です。現場に入る技能者の情報を確認して名簿を作成する作業は、企業として大きな負担となっている事務作業の一つです。
建設キャリアアップシステムなら技能者の情報が一元管理できるため、システムを利用すれば、作業員名簿も簡単に作成できます。そのため、事務作業の効率化を図れるのがメリットです。
言い換えれば、建設キャリアアップシステムを利用しないと、事務作業の効率化が難しくなってしまいます。
これまでの建設現場では、技能者の経歴や資格が可視化されていないため、事業者が客観的な評価を行えず、そのことに不満を感じている技能者も少なくありませんでした。
建設キャリアアップシステムを導入すれば、技能者の就業履歴や資格を個別に把握できます。そのため、技能者に対しての適正な評価が可能となり、工事品質の向上や現場の効率化につなげられるのがメリットです。
適切な人事評価を行うためにも建設キャリアップシステムの導入は欠かせず、事業者・技能者双方にメリットのある仕組みだと言えるでしょう。
現時点(2024年1月時点)では、建設キャリアアップシステムの登録・利用は任意ですが、国土交通省の方針として令和5年度から「あらゆる工事でのCCUS完全実施」に向けた具体策をスタートしており、まもなく義務化になる状況です。
建設キャリアアップシステムが義務化となると、駆け込みで登録する事業者や技能者が増えるため、申請から登録完了までの期間が大幅に伸びると予測されます。そのため、早めの登録をおすすめします。
また、これから事業者登録をして建設現場へ設置する「ICカードリーダー」をお探しでしたら、アートサービスのカードリーダーシステム「Easy Pass」もご検討ください。
カードリーダーシステム「Easy Pass」は、4G回線を利用した通信方式のため、インターネット接続環境がない現場でも電源を入れるだけで簡単に運用を始めることができます。